3歳くらいの年齢になると、ひらがなや数字など文字に興味を持つ子どもが少しずつ増えてきます。
絵本を読んでいたり、お菓子の箱などに書かれている文字を見て、
「これは何て読むの?」
「面白いかたちだね!」
など興味を示したら、文字の練習を始めてみる良いチャンスですよ。
まずは自分の名前をひらがなで書いてみることから始めると、子ども自身も
「へえ!ぼく/わたしの名前ってこう書くんだね!」
と楽しんで取り組んでくれます。
我が家もそろそろかな~と考えられているご家庭向けに、ひらがなの最初の練習に最適なタイミングと方法、活用できるおもちゃをご紹介します!
目次
文字の練習はいつから?ひらがなと数字どちらが先がいい?
「よし、我が家もそろそろ文字の練習をさせてみよう!」
と思っても、何から始めたら良いものか、迷いますよね。
文字の練習を始めるには、最適なタイミングや順番があることをご存知でしょうか?
私の友人も最近、3歳の息子の文字の練習を始めたばかりで、最初は何からすれば良いのかとても迷ったそうです。
そんな時、子どもの身体の発達支援を専門に行っている作業療法士の方に教わった方法がとても役に立ったと教えてくれました。
文字の練習を始めるタイミング
文字の練習を始めるタイミングは、以下の二つをクリアしているかがとても大切です。
- 子ども自身が文字に興味を持ち始めた。
- 鉛筆を下手持ちで握ることができ、直線や丸を書けるようになった。
1の『文字への興味』については、絵本を読んでいるときや、自分の持ち物に書いている名前を見た時などに、
「これ何て読むの?」
などと聞いてきた時がちょうど良いタイミングです。
「これは〇〇って書いてあるんだよ。簡単だから鉛筆で書いてみよっか?」
といった流れで、自然と文字の練習に入ることができます。
2の『鉛筆の下手持ち、直線や丸を書ける』については、できていなくても文字の練習は始められます。
しかし、その状態だと子ども自身が文字を書きにくく上達もしにくい為、文字と一緒に下手持ちや直線/丸の練習も並行して行うことが必要です。
“下手持ち”とは、スプーンやお箸の練習の時に良く使われる言葉です。
まだスプーンなど棒状の道具で食べることに慣れていない子どもは、身体の発達上、まずは覆いかぶさるように上側からスプーンの柄を持つ“上手持ち”で食べ始めます。
それが練習をするうちに、大人が持つ時と同じように、下側から柄を支える”下手持ち”で食べることができるようになって、スプーンを卒業してお箸を上手に使えるようになるのです。
お箸の握り方と、鉛筆の握り方はよく似ていますよね。
鉛筆も同じで、握り慣れていない子どもは最初、上手持ちで鉛筆を握ります。
しかし、そうやって握ると鉛筆が安定しないので、筆圧を十分にかけることができずに、か細い薄い線しか書けません。
また、鉛筆が安定しないということは、直線をまっすぐ書いたり、しっかりと綺麗な曲線で丸を書くことも難しいのです。
どんな文字も直線と曲線の組み合わせでできているので、そういった理由から、しっかりとした文字を書くには、鉛筆の下手持ち、そして直線/丸の練習が前提になるのですね。
「じゃあ、我が家は文字の練習はまだできないな…」
と諦めないでくださいね!
鉛筆の持ち方や直線/丸の練習は、やってみるとあっという間に上達します。
まだお子さんが鉛筆を上手に持てないのなら、まずは持ち方の練習から始めてみましょう。
「い」や「し」、また数字などの単純な形の文字ならすぐに書けるようになりますよ。
ひらがなと数字はどちらが先?
ひらがなでも数字でも、子ども自身がより興味を持っている方から始めていただいて大丈夫です。
数字なら、ひらがなに比べて形が単純で、種類も少ないので、習得のスピードが速いでしょう。
ただ、私はひらがなの練習をおすすめします。
何故なら、自分やお友達の名前を書くことができるようになるので、子どもも興味を持ちやすく、練習も続きやすいのです。
想像してみてください。
大人でも、見慣れない外国の文字で自分の名前を書いてもらったりすると、嬉しいのではないでしょうか?
「ちょっと練習して書けるようになってみようかな」
なんて思うかもしれませんよね。
子どもも同じで、自分の名前を文字で書けるようになるというのは、とても喜びます。
仲の良いお友達の名前まで書けるようになったら、「今度教えてあげるんだ!」と言って更に熱心に練習に励んでくれますよ。
文字の練習におすすめの方法
文字の練習には、子ども自身の手先の発達に応じた最適な段階があります。
段階別のおすすめの練習方法をご紹介しますので、お子さんの状況をよく観察して、練習を始めてみてくださいね。
まだ鉛筆の握り方、直線/丸を書き慣れていない子どもの場合
これは、子どもの身体の発達専門の作業療法士が、実際に子どもへおすすめするトレーニング法です。
まだ鉛筆を上から覆いかぶさるように持つ”上手持ち”で握っていたり、直線/丸を綺麗に書くことができないお子さんには、この方法を試してみてください。
まずは、鉛筆をしっかりと下手持ちで握れるようになりましょう。
“下手持ち”とは、大人が持つときのように、鉛筆を下側から支えるように持つ握り方です。
これができることによって、鉛筆が安定して十分な筆圧をかけることができるようになり、直線や丸を綺麗に書けるようになります。
最初はグーで握るかたちでも良いので、とにかく『鉛筆の下側から持つ』ことを癖づけてください。
それができるようになったら、次は正しい握り方の練習ですが、実はこれが意外に難しかったりします。
小学生を対象に行った調査によると、正しい持ち方で鉛筆を握れている子どもは全体の1割程度しかいないという調査結果もあります。
(参考文献:子育ての達人『正しい鉛筆の持ち方と矯正の方法』)
正しい握り方については矯正グッズなどもありますので、まずは下手持ち、親指、人差し指、中指の3本で握れるように練習するだけでも十分だと思います。
これは私個人の考えですが、正しい握り方にこだわりすぎて子どもの文字への興味が薄れてしまうのはもったいないと思います。
下手持ちで、ある程度鉛筆が安定して握れているようなら、正しい持ち方の練習は文字の練習と並行してでもできることです。
せっかくの子どもの興味が薄れてしまう前に、文字の練習を始めてみることが大切だと思います。
また、文字の練習に入る準備として、直線と丸を綺麗に書けるように練習しましょう。
丸よりも直線の方が簡単ですので、直線の練習から始めることがおすすめです。
【準備するもの】色付きの画用紙と鉛筆
画用紙の短い辺を、真ん中でまっすぐ折って広げます。
すると折り目がつき、画用紙の折り目から上側が少し立ちますよね。
子どもは鉛筆を持ち、画用紙の折り目に沿ってまっすぐ線を引きます。
それを、画用紙の向きを変えながら、横方向→縦方向→斜め方向と、いろいろな方向に向かって繰り返してください。
通常、横方向の直線が一番書きやすく、次に縦方向、一番難しいのは斜め方向と、同じ直線でも書く方向によって難易度が異なります。
画用紙の折り目が直線を綺麗にまっすぐ書く補助機能になり、しかも画用紙の向きを変えながら横/縦/斜め方向それぞれの練習ができることで、直線を書く時の手の感覚を身につけることができるのです。
白い紙、またコピー用紙のような薄い紙だと折り目が見えにくかったり、書いている最中にぐしゃっとなってしまいますので、色付きの画用紙がおすすめですよ。
この練習に慣れてきたら、次は折り目無しで、平らな紙に大人が薄く直線を書いてあげて、その上を子どもが鉛筆でなぞって練習してみましょう。
それにも慣れてきたら、直接まっさらな紙に直線を書かせてみてください。
とても上手に書けるようになっていますよ。
丸を綺麗に書くには、直線と同じように大人が紙に薄く丸を書いてげて、その上を子どもが鉛筆でなぞる方法がおすすめです。
最初はギザギザの不格好な丸になってしまいますが、繰り返すうちにだんだん綺麗な丸を書けるようになります。
直線・丸が上手にかける子どもの場合
下手持ちで鉛筆を持ち、直線と丸が書けるようになったら、いよいよ本題の文字の練習ですね!
ひらがな練習用の積み木や絵本、タブレット型おもちゃなどを使って、たくさんの文字に触れることから始めましょう。
その中で特定のひらがなの形や音の響きなどに興味を持てば、その文字から練習してもいいですし、自分の名前の頭文字から練習しても良いですね。
大切なことは、子ども自身が興味を示してから練習を始めること。
大人が半強制的に「じゃあ、やってみようか!」と練習させても、子どもが乗り気でなければ「嫌なもの」と認識されてしまって逆効果になってしまいます。
その後の勉強嫌いにも繋がりかねないので、それは絶対に避けたいことです。
もしも子どもがあまり興味を示さなかったとしても、再び興味を持つタイミングが必ず来ますので、大人は焦らず、強制せずに見守ってあげてくださいね。
具体的な練習方法は、紙などに大人が薄くひらがなを書き、その上を子どもがなぞることから始めると習得しやすいです。
そういった練習ノートもたくさん販売されているので、活用してもいいですね。
念を押しますが、子どもに義務感を与えないよう、楽しみながら練習できていることを重視してください。
そのためには、
「自分の名前がかけたら、かっこいいよ!今度保育園/幼稚園の先生に見せてあげようよ!」
といった具合に、子どもにもわかりやすい身近な目標を用意してあげるといいですよ。
何文字か自分で書くこともできるようになってきた子どもの場合
上記の練習を続けて少しすると、何文字かのひらがなを書けるようになったり、自分の名前なら全てひらがなで書けるようになります。
子ども自身が、「もっとたくさん練習したい!」と希望するようなら、実際に誰かに手紙を書いてみるのがおすすめです。
手紙と言っても一文、二文の短いもので良いのです。
お母さんやお父さん、おばあちゃんおじいちゃん宛てでも良いですし、保育園/幼稚園の先生やお友達に宛てても良いですね。
子どもが顔を思い浮かべることができる身近な誰かに宛てて、「お手紙書いてみようか!」と提案してみてください。
自分だけの世界で文字の練習をするのとは違い、実際に相手に読んでもらうために書く、という意識が働くので、一気に上達しますよ。
これまではなかなか難しくて書けなかった文字が書けるようになったり、ぐにゃぐにゃの線でなんとか書けていた文字を上手に書けるようになったり…
誰かのことを想いながら、その人のために行動することで、子どもはこんなにも大きく成長するんだな、ということにきっとびっくりすると思います。
ひらがなの練習におすすめのおもちゃ7選
楽しみながら練習をするには、やはりキャラクターやおもちゃの力は大きいです。
おもちゃコーナーや書店にも、文字練習用のおもちゃや本がたくさん並べられていますよね。
その中から、特におすすめのものを厳選してご紹介します。
積み木・マグネット型
学習塾としても有名な公文が開発した積み木です。
積み木の表にイラストが描いてあり、裏にはそのイラストの頭文字がひらがなで書かれています。
ポップな絵柄と大きな文字、そして普通の積み木としても遊べることから、多くの親子に支持されているおもちゃです。
裏側のひらがなが書かれた面を上にして並べ、
「にわとりはどれかな?」
と問題を出して当てさせるようなゲームをすることもでき、楽しみながらひらがなの読みを覚えることができます。
木箱に入っているので、遊んだ後の片付けがしやすいことも良いですね。
人気のアンパンマンのひらがな練習用おもちゃです。
ひらがなが書かれているマグネットを、当てはまる場所にペタペタと貼ったり、組み合わせて言葉をつくる遊びもできます。
コンパクトに収納ができるので持ち運びもでき、外出中でも遊ぶことができます。
大好きなアンパンマンと一緒に遊びながらひらがなの読みを覚えることができ、簡単な言葉も覚えることができるので、まだ年齢の低い子どもでも楽しむことができます。
絵本・ノート・ボード型
こちらも公文から出ているおもちゃです。
ボード型で、ひらがなを書く練習ができるようになっています。
動物などのイラストにいろいろなひらがなが隠れていて、それを見つけながらなぞることで、ゲーム感覚でひらがなを書く練習ができますよ。
文字だけでなく、短い線、長い直線などの練習から始めることができるので、まだ鉛筆の握り方に慣れていない子どもでも、遊びながら自然と上達することができます。
水で書くアクアペンを使うため、乾いたら何度でも繰り返し使うことができ、とても経済的です。
簡単なひらがな10文字を習得できるようになっているので、練習を始めたばかりやこれから始めようかと検討されているご家庭におすすめです。
お風呂の壁に貼るポスタータイプのひらがな表です。
子どもと一緒のお風呂の時間を使って、ひらがなの読み方を教えることができます。
大人が自分の身体を洗っている間、子どもを退屈させずにいることもでき、大人にとっては一石二鳥のアイテムですよね。
価格も手ごろで場所も取らないので、ひらがなに興味がありそうだからひとまず何か始めてみようか、という段階にもおすすめです。
こちらも公文が出している、絵本とノートが合わさったような練習用教材です。
動物のキャラクターが書かれたページをめくると、まずは直線や形を書く練習から始まり、段々と文字が書けるようになります。
鉛筆を持つ練習の段階や、直線/丸の練習といった、基礎段階の子どもにおすすめです。
ご褒美シールや、一枚一枚進めていく達成感など、子どもを飽きさせない工夫が随所に施されています。
同じシリーズで鉛筆の持ち方や数字バージョンなどもあるので、シリーズで揃えてみてもいいですね。
こちらも公文が開発した練習用ボードです。
やはり、世界中に展開する公文のノウハウが詰まった学習系のおもちゃは人気がありますね。
こちらは文字にある程度慣れてきた子どもにおすすめの、更なる上達に繋がる教材です。
ひらがなをなぞる練習だけでなく、バランス良く書く練習もできるようになっています。
水で書くアクアペンを使うので、繰り返し練習することができ、経済的です。
キャラクターやイラストはあまり登場しないので、「もっと上達したい!」と意欲を持った子ども向けの本格的な練習で活躍します。
タブレット型
1歳半から遊べる知育アプリが110種類も入った知育用タブレットです。
もちろん文字の練習アプリもあり、ひらがなだけでなくカタカナや英語のメニューもそろっています。
また、「おえかき・かく」メニューでは文字や形を書く練習もできますので、一台で何役も果たしてくれる便利なおもちゃです。
1歳半から就学前の6歳ごろまで、長く使えるという点でも人気を集めています。
タブレット・アプリと聞くと、「中毒のようになってしまったらどうしよう」という不安を持つ方もいらっしゃいます。
そういった不安を解決できるよう、タイマー機能がついているので、子どもの使い過ぎを防ぐこともできます。
まとめ
- 文字の練習を始めるには、最適なタイミングと順番がある
- 鉛筆の握れて直線や丸を書くことができるようになると、ひらがなを練習することができる
- 文字の練習をする上で、子ども自身が楽しんでいるかが重要
- 大人が強制してはいけない
- 子どもの手先の発達や習得度ごとに対応することが大切
- ひらがなの練習おもちゃも活用すると効果的
- 公文が出しているものが人気が高い
身近な目標を設定しながら、子ども自身が楽しく練習できると上達も早いです。
目に見えて結果や上達具合がわかる文字の練習は、子どもも大人も夢中になって取り組むことができますよ。
くれぐれも大人だけが突っ走って、いつのまにか子どもの興味や気持ちが離れてしまっている、という状態にだけはならないように気を付けてくださいね。
この前遊びに行きました友達の子どももちょうど3歳で文字と数字に興味を持っていました。
その時に友人がどんなおもちゃを買って実践しているか教えてくれましたので紹介します。